拍手してくれた貴方のためのお礼その2(07/11/13) 「TFシーンだけ書いてみたからシチュや前後のストーリーは自分で想像して萌えてね。猫編」 例えば、小説が漫画だとすれば、コレは一枚絵sequenceのようなもので。 「ウゥッ・・・!?」 私は、急に自分の身体に走った激痛に、思わず身をよじらせ、そのまま前へと倒れこんでしまう。今まで感じたことの無い感覚。自分の身体が、燃え上がり、消えてしまうような恐怖感に襲われる。 「だ、誰・・・か・・・!」 助けを呼ばなきゃいけない。そう分かっているけど、声にさえ力が入らない。きっと、こんな声じゃ誰にも気づいてもらえない。だけど、せめて何かにすがりたくて、私は目の前に何も無いのに、気付いたら自然と手を伸ばしていた。・・・だけど、その手を見ると、何かおかしい。・・・私の手は勿論肌色のはずなのに、白く見える。私はそのことに気付いて、恐る恐る自分の手を目の前へと運ぶ。・・・近くで見て気付いた。これは、白い毛だ。ふわふわとした、動物の。 「何・・・なの、コレッ・・・!?」 私はもう一方の手で、その毛に触れてみる。そして取ろうとする。・・・が取れない。そのはずだ、毛は間違いなく私の手から生えていたのだから。しかも、現在進行でその毛は伸び、その生えている範囲も広がっていっている。何が何だか分からず、私はその毛を片方の手で触っていたが・・・不意にその手の感触がいつもと違うことに気がついた。そして、私はまた恐れながら自分の手の平を返してみる。・・・返す前に、気付いてはいた。自分の指が短くなっていたことには。だけど、手の平にぷくっと腫れたように盛り上がる肉球を見る瞬間までは、錯覚だと思いたかったのだ。 「嘘・・・イヤ、私・・・どうなってるの・・・!?」 何がどうなっているのか。私の手は見る見る間に人間のそれから、陸生動物の前足へと変わってしまったのだ。・・・しかもその前足は私の手よりも一回り小さかった。それに・・・腕も短くなっているのか、しばらくするとその可愛らしい前足は着ていた服の袖に隠れてしまった。それだけじゃない、私の着ていた服が、ぶかぶかになっていた。 「・・・縮んでいる・・・私がっ!?」 そうとしか考えられない。服が大きくなるわけが無いし。そしてついに私の身体は、すっぽりと服の中へと収まるほどに小さくなってしまった。その中で私は、痛みに悶えながら、自分を襲う変化になす術もなくただそれを受けるばかりだった。 手から生え始めた白い毛は、身体中を覆いつくし、お尻からはその色の長い尻尾が伸びてしまった。 足も、手と同じように指が短くなって、平には肉球が盛り上がり、かかとが伸びて、すっかり動物の後足になってしまった。 顔ももう、人間の私のものじゃなかった。鼻先は、鮮やかなピンク色に染まり前へと突き出し、上唇は真ん中で割れ、鼻の周りからはピンとヒゲが伸びていた。 耳は頭のてっぺんに移動して、三角形にとがり、内側にもふわふわとした微毛が生えている。 私はようやく全身の痛みがひいたことに気付くと、すっかりただの重い布でしかなくなってしまった自分の服から、四本の足をうまく使って這い出た。 そして、誰もいない空間目掛けて、白い毛によく映えるブルーの瞳を潤ませながら、なおも助けを呼んだ。 「ミャオォォン・・・!」 辺りには、猫の鳴き声だけが寂しげに響き渡り、白猫は自分が着ていた服の上で丸まりながら、静かに涙をこぼした。